大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)2894号 判決

原判決が、その判示事実認定の証拠として、他の証拠と共に、証第一乃至第三号総勘定元帳(裏勘定)、証第四号総勘定元帳(表勘定)、証第五号物品税課税標準申告書、証第六号物品税納付台帳、証第七号承認簿、証第八号物品税申告書の写、証第九、一〇号金銭出納簿(裏勘定)、証第一一号取引高税台帳、証第一二号取引高税申告書の写、証第一三号取引高税印紙購入通帳等を挙示していること、原審第一回公判準備調書、及び同第二回公判調書の各記載によれば、右の証拠は、全部検察官の提出したものであつて、検察官は、その証拠調を請求するにあたり、前掲証拠中証第一号乃至第三号、第九号乃至第一三号は、これを証拠物とし、証第四号乃至第八号は、これを証拠物たる書面として、他の証拠書類と区別して取調を請求し、原審裁判官も亦、右検察官の請求どおり区別してこれを受理したことが窺われること、並びに、原審において、右証拠の取調をするにあたり、他の証拠書類と右証拠物たる書面とは、訴訟関係人の同意があつたので、朗読に代えて、検察官をして各その趣旨を告げさせたことが認められるけれども、右の証拠物たる書面、及び、前示の証拠物については、いずれも、検察官をしてこれを展示せしめた形跡の認められないことは、すべて、所論の指摘するとおりであつて、且つ、証拠物の取調をするについては、刑事訴訟法第三百六条、又は第三百七条により、展示を要することも亦所論のとおりである。そこで、前示証第一号以下の証拠が、果して所論のように、証拠物であるかどうかの点を考えてみるに、書面たる証拠が証拠書類であるか証拠物であるかは、必ずしも、所論のように、これが取調を請求する者の意思によつて定まるものとはいうことはできないけれども、書面の内容たる意義が証拠となるだけでなく、その存在や状態が証拠となる場合には、証拠物たる性質を有するものと解するのが相当であつて、今この見解にもとずき、前掲各証拠を、原判決の判示事実と、記録に顕われたこれら証拠の立証趣旨とに照らして検討するときは、右各証拠中少くとも、証第一号乃至第三号総勘定元帳(裏勘定)、証第四号総勘定元帳(表勘定)、証第九号、第一〇号金銭出納簿(裏勘定)等は、いずれも、単に、その記載内容ばかりでなく、その存在や状態等も亦証拠となるものであることが認められるのであるから、これらの証拠は、皆証拠物たる性質を有するものというべく、従つて、これが証拠調にあたつては、刑事訴訟法第三百七条に則り、朗読又はこれにかえて要旨を告げた上、なおこれが展示を要するものといわなければならない。

然るに、原審において、これら証拠の取調にあたり、これを展示した形跡の認められないことは前述のとおりであるから、原審の訴訟手続には、この点につき、法令の違反があるものというべく、而も、原判決挙示の各証拠中、前記の証拠を除けば、その他の証拠を以てしては、到底、原判決の判示事実を確認することができないのであるから、右の法令違反は、判決に影響を及ぼすことが明らかであるというべく、原判決はこの点において破棄を免れないものといわなければならない。

論旨は理由がある。

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